
この記事の内容
白いウサギが、独り言を言いながら走っていく。あなたなら、まず「しゃべった!」と驚くかもしれません。
ところが、『不思議の国のアリス』の冒頭では、アリスの反応は少し違います。今日は白ウサギの一言を読んでから、アリスが思わず立ち上がったきっかけを探してみよう。長い本を最初から読み切ろうとしなくても、一場面の不思議を楽しめます。
まずは、白ウサギの一言だけ
使うのは、ルイス・キャロルの『Alice’s Adventures in Wonderland』を掲載するProject Gutenbergの英語本文です。目次のChapter Iを開きます。今回は、冒頭で白ウサギが現れ、アリスが追いかけるところまでです。
白ウサギは、こう独り言を言います。
“Oh dear! Oh dear! I shall be late!”
出典:上記電子版のChapter I。別の翻訳や映像のセリフではなく、この英文で遊びます。
この一言を、どちらの気分で読んでみたいですか。
- A:時間を気にして、そわそわしている
- B:時間はたっぷりあるので、のんびりしている
日本語に全部置き換える前に、ウサギの声を想像してみてください。late が目印です。
一言の気分を確かめる
ここではA。「大変だ、遅れてしまう!」という気持ちで読めます。これは場面に合わせた本記事の日本語説明です。その後もウサギは時計を見て急いでいくので、言葉と動きがつながります。どんな声かを当てる正解はないので、自分の読み方でかまいません。
アリスが気になったのは、声?それとも時計?
今度は、白ウサギの一言を含む段落を、その先まで読んでみましょう。文が長いので、最初から一語ずつ訳さなくて大丈夫です。
探すのは、次の二つの場所です。
- ウサギが独り言を言ったとき、アリスはどう受け止めたか
- ウサギが時計を取り出したあと、アリスはどう動いたか
時計を探す目印は watch。この場面では「見る」という動作ではなく、ウサギが取り出す時計です。ポケットから取り出したものと、その後のアリスの動きを追ってみてください。
図は、二つの手掛かりを比べるための自作メモです。原作の挿絵や映像の画面ではありません。どちらが気になったか、自分の予想も一つ残してから答えを開いてみよう。
アリスが立ち上がったきっかけを読む
この段落では、ウサギがしゃべることは、その場のアリスには自然に思えています。あとで思い返すと、そこで驚くべきだったと気づくのですが、その瞬間にはそう感じていません。
一方、ウサギがベストのポケットから時計を取り出し、見てから急いでいくと、アリスは立ち上がります。そんなポケットや時計を持つウサギを見たことがない、と好奇心をかき立てられ、後を追います。「声に驚いてすぐ追った」とまとめず、間にある時計の場面を見つけると、物語の不思議な感覚が少し見えてきます。
自分なら何に驚くか、一行だけ残そう
メモには、たとえば「私は声に驚くと思ったけれど、アリスが動いたのは時計を見たあとだった」と残せます。これは記入例なので、別のところが気になったなら、その発見を書いてみてください。
この本は英語学習向けにやさしく書き直した版ではありません。長い文や古い言い回しが負担なら、今日は一言だけでも十分です。もう少し読みやすい本を探したいときは、短い試し読みで洋書を選ぶ方法へ。音声も合わせたくなったら、本とオーディオブックの版をそろえる確認も役立ちます。
続きが気になったら、白ウサギの後を少しだけ追ってみよう。「次は何が変だろう?」と思える場所が、次に読む目印になります。